大晦日に帰省し、旧友と二人で飲み歩いていた。 高校時代、浪人時代と共に過ごした仲であり、僕の決して多くない友人の中でも特に気の置けない奴と。 1件目で互いの近況報告に興じつつビールと電気ブラン、ジャックダニエルを舐め、店を変えてラフロイグをチビリチビリと舐め始めた頃に年明けを迎えた。 年末の飲み会ラッシュで荒れ果てた胃と疲弊しきった肝臓には丁度良いくらいのスローペースで、酩酊することもなく淡々と会話を続けていると、不思議と頭は冴え始めたので、なるほどこれこそが2012年に実践すべき飲み方であるはずだと勝手に結論づけてひとり悦に入ったりしていた。 2杯目に出てきたどこかの島でできたとかいうラムと、ピリ辛く味付けされたつまみのホタテは相性が良いとは言えなかったけれど、友人の彼女やクライアントに対する愚痴が笑えたので気にならなかった。 2時を回ったところで友人と別れタクシーに乗り込む。 新年早々よく喋る運転手のせいで、心地良い微睡みが何度も妨げられた。田舎のタクシーの運転手は皆、帰省してきた若者に対してまるで台本でもあるかのように決まって景気の話を振ってくる。こちらも無事悪いです。 自分の生活に大きな区切りを付けてから丁度1年経った。 去年の正月は、それまでの生活の精算と新しく始まる生活の準備に忙しくしながらも、迫り来るインド旅行への期待に胸が高鳴っていた。さて今年は、というと、まだ自分をうまく俯瞰できずにいるのでよくわからない。 とりあえず、今週末くらいからフラっと南のほうにでかけてくる。とにかく今僕が欲しているのは、壊れかけたファンと茹だるような暑さ、そしてぬるいビールとパクチーを山盛りにのっけたフォーなのだ。 何はともあれ今年もよろしくお願いします。