数日をパンガンで過ごした僕らは、ダラダラしつつもその後の旅程について考えていた。 タオ島などパンガンより北にある島々を巡りつつどこかのタイミングで大陸の大きな街に戻り、再度列車に乗ってゴールであるバンコクを目指すプランが最も魅力的だったが、時間が足りない。 やはりここは一度スラタニに戻り、列車で一気にバンコクを目指そう、というのが僕らの出した答だった。 しかし、宿の女将的な女性にフェリーと列車のブッキングを頼んだところ、めぼしい列車の予約が全て埋まっているという。女将も色々と頑張って席を確保してくれようとしてくれたが、とうとう列車でのバンコク入りを諦める他ない事が判明した。 そこで僕らは、やむなくスラタニから夜行バスでバンコクを目指すことにしたのだった。 パンガンからバンコクまでのフェリーとバスの移動を全てアレンジするという旅行会社を使うこととした僕らは、宿を出て港に向かいフェリーに乗り込んだ。 僕らと同じようにパンガンからバンコクへ向かう人やあるいは他のリゾートへ向かう人など、多くの旅人が港に集まっていたが、そのほとんどは白人で、アジア系の人間は僕らくらいしかいないように見えた。 スラタニへは小さなフェリーで舞い戻った。そこから遠方へのバスが出るバスターミナルへと向かい、昼食を取る。 効きすぎた非情な冷房に悩まされるバスの旅の幕開けだ。 なんだかんだでバンコクに辿り着いたのは明け方の4時か5時ころだったと記憶している。 いつもはひどい喧騒に包まれているカオサンもさすがにこの時間帯は少し静かで、ランブトリ通りまで行くとほとんど人がいなかった。 僕らはランブトリの奥のほうにあるゲストハウスに荷を下ろし、朝を迎えんとしているバンコクの街なかをブラブラと散策した。 三島由紀夫フリークな先輩と共にチャオプラヤー川沿いを歩き、暁の寺を見に行く。 もう何度も見た事のある光景が再び眼前に姿を現す。小説「暁の寺」で描かれたような衝撃は無いが、それでも綺麗だ。 ふと後ろを振り返ると、女学生と思しき二人組がベンチに腰掛け、通学途中の一時を楽しげに過ごしている。ジン・ジャンのような神秘的な様相を纏っているわけではないが、しかしそれでも美しい光景だった。 寺や川を眺めることに飽きた僕らはやがてカオサンに戻