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アンコールワット - その1:シンガポール、クアラルンプール

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GWに休みが取れそうなことを見越して、早いうちからシンガポールまでのチケットを押さえていた。特に行き先が決まっていたわけではないが、どこへ行きたくなっても、バンコクもしくはシンガポールまで出ておけば大抵の所までは飛べるだろう、そう考えてのことだった。

いよいよGWが目前に迫ったころ、未だ訪れた事のない国々の名前を思い浮かべてはシンガポールからのチケット代を調べ、ノートPCのディスプレイの前でさんざん腕組みをして悩んだ挙句、カンボジアはシェムリアップ近郊にあるアンコール遺跡群へと足を運んでみることに決めたのであった。安く上がりそうだし、東南アジアへは散々足を運んでいるものの、なかなか縁のなかったアンコールワットといい加減対面しておくかという具合である。

ハードな長距離バスでの移動などは介さない、LCCを駆使した快適な旅程を組んだ。しかも訪問先は誰もが知る観光地中の観光地、宿や両替所、市内の移動手段となろうトゥクトゥクやバイクタクシーの数は保証されており、気楽なもんである。

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成田から台北を経由しシンガポールへと向かうスクートの便はしばしば部品到着の遅れやら何やらでディレイすることがあるが、この日はなんだかんだでオンタイム。快晴の空へと飛び立った機内からは、離陸後ほどなくして雪化粧を施した山々を眺む事ができた。

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出発前日に購入した村上春樹の新刊を開き、シンガポール到着までの読了を試みるも、睡魔に襲われあえなく失敗。

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チャンギ空港では、GW2日目ということもあってある程度の混雑を覚悟していたが、意外にもイミグレーションは空いていてスムースに入国することができた。デカいバックパックを担いだままクラーク・キー付近にある肉骨茶屋へと向かい、その日初めての食事を摂った。

残念ながら肉骨茶自体は売り切れていたため、恐らく肉骨茶と同じスープを使っているであろう同類の料理を食べてみることにした。初めて口にしたが、コンソメっぽい味わいであった(当然か)。

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翌日。この日はシンガポールからクアラルンプールを経由しシェムリアップまで飛ぶ日だったが、フライトまで時間に余裕があったので、ブラブラとホーカーを物色し、むっとする陽気の中、マトンの入ったビリヤーニ(そんなに美味しくなかった)をつまみながらビールを啜った。

この日は月曜日だという事もあってか、ホーカーはそこまで混雑していなかった。昼間からビールをやってる客も僕の他にはチラホラとしかいない。

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クアラルンプールに向かうために再び訪れたチャンギ空港では時間を持て余し、再びビールを啜っては離着陸する飛行機たちを眺めていた。

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シンガポール-クアラルンプール間の移動には、タイガーエアウェイズの便を手配していた。スクートと同様、シンガポールエアラインから出資を受けているLCCだが、スクートが長距離路線の運航をメインに扱っているのに対してこちらは短距離路線がメインらしい。

電車でも容易に移動できる距離だという事もあってか乗客はまばら。そのほとんどがマレー人と思しき人々で、ブルカを纏った女性も多かった。

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約1時間のフライトであっという間にクアラルンプールはLCCTに到着。エアアジアの機体がわんさか並ぶ赤一色なターミナルはなかなか圧巻である。

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クアラルンプールから夕方の便でシェムリアップへと向かう予定だったが、時間がやや空いていたので一部界隈に異常に評判の高いマレーシアのKFCを体験してみることにした。

辛めの味付けを施したチキンを2個頼み、手を油まみれにしながらかぶり付いてみると、なるほど美味い。もちろん、旅行中というやや非日常な状況に置かれて興奮しているからだとか、信頼のおける友人がレコメンドしているからだとか、バイアスがかかる要因はいくらでも見つかるけれども、日本で食ったことのあるKFCのチキンを冷静に思い出してみても、こちらのほうが美味いと思った。一体何が違うんだろう。

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日が沈みかけてきた頃、定刻通りシェムリアップへと向かうエアアジア便は飛び立った。
窮屈なエアアジアのシートも、シェムリアップまでの1時間半程度のフライトなら我慢できる。

シェムリアップでは使わないであろうシンガポールドルとマレーシアリンギットをまとめてカバンの隅っこに押しこみ、日本円と米ドルを整理して財布に入れて、クレジットカードは腰巻財布に突っ込んだ。

イミグレーションカードに記入を終え、地図で空港から市街地までのルートざっと確認しつつ、安宿が多く有りそうなエリアに適当に目星をつけたりしているうちに、機はシェムリアップへと到着したのであった。



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アンコール遺跡群への旅の記録

アンコールワット - その1:シンガポール、クアラルンプール
アンコールワット - その2:シェムリアップからアンコールトム、バイヨンへ
アンコールワット - その3:アンコールトム、バイヨン、バプーオン
アンコールワット - その4:アンコールワット
アンコールワット - その5:シェムリアップ
アンコールワット - その6:タ・プロームなど
アンコールワット - その7:プレ・ループなど
アンコールワット - その8:パンテアイ・スレイと旅のおわり

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