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10月, 2013の投稿を表示しています

マレー半島を北上せよ − その7:パンガン

ビールを2缶ほど空けた頃だろうか、僕らの乗るフェリーはパンガンの港に到着した。 ソンテウが数台、新たにこの島を訪れる来客たちを待ち構えている。僕らはそのうちの1台に乗り込み、ゲストハウスが多く集まるハート・リンという地域を目指した。 ハート・リンで降り、片っ端から宿を当たっていた僕らが根城に決めたのは、浜辺までドアから30秒という立地のコテージだった。簡素な作りだが蚊が入り込むような隙間も見当たらず、シャワーの水圧も問題なかった。 パンガンでの生活は特に記すべく事がない。 というのも、二人ともこの島の空気にすっかりヤられ、何か面白いことを企てるわけでもなく、ただただ朝起きて海を眺め、ハンモックに揺られながら本を読み、飽きればどこかにでかけてビールを飲みながらまたしても海を眺め…という生活を繰り返していたからだ。 少し特筆すべき事があるとすれば、僕らが泊まっていた宿へアプローチする道路だろう。 この写真でどの程度伝わるかわからないが、日本の道路では信じられないくらいの激しい傾斜がついたカーブの途中にゲストハウスへの入り口があった。 この上り坂をスクーターで登ろうとするとちょっとしたテクニックが必要だった。 この宿で食べるコンチネンタルなブレックファーストはなかなか立派なものだったが、カチコチの薄いトーストがついてくる点で他のゲストハウスと大差がなかった。みずみずしい果物が添えられていたので特に不満はなかったが。 僕らはこれをぺろりと平らげ、しばらく甘いコーヒーを飲みながら眼前の静かな海を眺めては、何を考えるわけでもなくタバコをふかした。贅沢な時間だった。 これはハート・リンの中で薬屋や銀行、旅行会社が集まる一角。欧米人のバックパッカーだらけだ。 あまりにも暇な時は、スクーターを駆ってパンガンの奥地へ出かけた。この後、前を走る先輩は壮絶な泥だまりに足を取られた挙句、ジャングルのど真ん中でガス欠に見まわれる。 この島の食堂で出る食べ物はこれと言った特徴もない簡単なタイのローカルのそれだったが、僕らが美味しいと感じるには十分なレベルだった。 ニューイヤーパーティーがどこかの浜辺で執り行われると耳にしたが、僕らはなんとなく行かなかった。これまでの移動で疲れていたからかもしれない

PENTAX K-30にクロスプロセスモードなんてお楽しみ機能があったんですね

昔から説明書の類を全然読まないないで触りながらなんとなく仕組みを理解するタイプの人間(小難しいことが苦手なダメ人間)なので、GRD2を買った時もGRD3を買った時も先輩からK-xを譲り受けた時も先日K-30を買った時も、説明書は箱と一緒にクローゼットの中に押し込んでました。 で、なんとなくK-30をいじってた折にクロスプロセスモードなんてものがあるのに気づいたわけです。今さら。なんかGRD3にも同様の機能あったみたいですが全く気づきませんでしたね。。(しかももう無くした) 銀塩のカメラは使ったことないし原理的な事は全然詳しくないので詳細は割愛するけど、ポジフィルムをネガ現像?した時みたいな不思議な色味だとかコントラストの絵が撮れるんですね。んでその時のパラメータがランダムに決まるようで、何が出るかはお楽しみな感じ。 撮った絵の風合いが気に入った場合はそん時のパラメータを記憶させて再現性を持たせる事ができるっぽいけど細かい事はよう知らん。 おしゃれっぽいきがする。 フォトショとかでトーンカーブをチリチリいじるひとにとってはいくらでも狙った風合いを自作できるんだろうけどね。暇つぶしにはいいですね。

マレー半島を北上せよ − その6:スラタニ

4時間半ほど列車に揺られていただろうか。僕らはハジャイから北に380kmの所にあるスラタニに到着した。 スラタニまでの列車はそれまでと違って寝台列車ではなく、JRの特急列車のような少し立派な作りの座席のものを予約していた。途中、なんと晩ご飯まで支給された(ボチボチの味だった気がする)のだ。 で、スラタニである。小さい町である上に到着したのは深夜だ。駅前にタクシーは一台もいない。それどころか人影すら見当たらなかった。 駅構内にたむろしているろくでもなさそうな輩に市街地まで行きたい旨を伝えると、仲間のタクシードライバーだという奴に電話をかけてくれたので、英語が不便な彼に変わって受話器の向こうの某かと交渉を図った。しかしそのドライバー(本当はただの暇なオッサンだったと思うが)が提案してきた額は異常に不当な金額で、結局没交渉に終わってしまったのだった。 しょうがなく駅前をぶらついていると、1台の乗用車がタクシー停留所の近くに泊まっている。ダメ元でそのドライバーに話しかけてみると市街地まで乗せてくれるという。恐る恐る金額を聞くとまあまあ許せる金額を提示されたので、僕らはそいつの車に乗り込んだ。 市街地に到着した僕らは適当に見つけた宿に荷を下ろし、改めて何か口にするために外に出かけた。 街灯は少なく薄暗い通りだったが、かすかに匂う潮の香りが港の近いことを教えてくれる。少し歩いて広い川に面した通りに出た時、大きな花火が打ち上がった。この日は大晦日だった。花火を眺める僕らの脇で爆竹がけたたましい音を立てる。タイの諸々の行事は旧暦に基づいて行われるので1月1日という日付はタイ人にとってはどうでも良い日のはずだが、控えめながらもちゃっかりお祭りムードである。 通りに並ぶ屋台ではシンハーの大瓶を売っていたので、すかさず二人でぐびぐびと飲む。慌ただしい年越しで特に大きな感慨があるわけではなかったが、それでもめでたいものはめでたい。そしてめでたい日にはビールを飲まなければいけないのだ。 その後、さあ酒を買い込んで宿で飲み直そうと思ったのだが、なんと訪れたコンビニでは酒を売ってくれなかった。どうやらコンビニで酒類を販売して良い時間帯を越えているらしい。僕らは項垂れ、泣く泣く宿へと帰って大人しく眠った。 翌朝、元旦である。この日はフェリーに

マレー半島を北上せよ − その5:ハートヤイ(ハチャイ)

パダンプサールを出発して1,2時間ほどして、僕らはタイ南部のハートヤイ(ハチャイ)という駅に降り立った。 前日の夜にクアラルンプールを経ってから丸半日程度が過ぎようとしていた。ようやく一息つける形となった僕らはしとしと雨の降る街を歩き、宿を探してバックパックを放り込んだ。長い移動が続いたのでここらで一泊するのもありかと考えたが、それは街の様子を見てから決めても遅くない。 身軽になった僕らはハートヤイの街をそぞろ歩いた。マレーシアからタイへ列車で入国した際の玄関口となるこの街は小さいながらもそこそこ発展しており、ショッピングセンターや学校、市場まで、生活に必要なものはひと通り揃っていると思われた。 街の至る所に溢れるお馴染みの丸っこい文字を見て少しほっとする。僕はタイに帰ってきたのだ。 朝からろくなものを食っていなかった僕らは、湯気をもくもくと立てながら麺を茹でるローカルの食堂に素早く狙いを定めた。運ばれてきた愛しのシンハーと、ギチギチに氷の詰まったグラス。否が応でも気分は高まる。 一緒に頼んだ麺(センヤイ?)が異常に美味かった。魚肉のつみれもぷりぷりした食感で大いに満足。 あんのかかった春巻きのような食べ物もなんとなく頼んでみた。無茶苦茶に美味いわけではないがビールのつまみにはまあまあ良い。 あっという間にひと瓶が空いてしまい、迷わずふた瓶目を頼んだ。 晴れてシンハーを堪能した僕らは更に街を探索した。 しかし、これと言って面白いものもない。やることのなくなった僕らはまたしてもビールに誘われ他の食堂に吸い込まれてしまったのだった。タイ風のチャーハンと、海鮮の炒めものを2品を肴にまたしてもやり始める。 この店の食い物にもびっくりした。化学調味料が多分に使われてるのだろうが、やたらと旨い。小一時間前に食ったばかりだというのに、全てペロリと平らげてしまった。 そして夕刻も近づいた頃合いに、僕らは宿から荷物をピックアップして駅に戻ってきた。この街に滞在しても特にやることがないという事がわかったので、その日のうちに更に北上することにしたのだ。 ホームと地面までの高さは僅かしかなく、線路の上を歩いて横切ることができる。時折、見慣れぬ形のディーゼル車がのんびりと構内から出たり入ったりしていた。

『クロニクル』が大変面白かった話

あんまり私の身近な人でこの映画を見たって人が見当たらなかったんだけど、『クロニクル』を見てきました。予告編見てから妙に気になっていたんだよね。 軽く調べて見ると"『AKIRA』を彷彿とさせる"とかなんとか書かれている事が多いんだけど、実際見てみると確かに『AKIRA』っぽい。パッとしない高校生たち(主人公はテツオっぽい)がひょんな事から超能力を手に入れちゃって、いたずらしたり空を飛んだり、そのうち力を持て余して徐々に取り返しのつかない事態に発展していくというのがあらすじ。ぬいぐるみが暴れたり入院時に着るパジャマ姿で戦ったりするところは明らかにオマージュっぽい。 ポイントオブビュー方式で、基本的に主人公が持つビデオカメラ視点で絵が切り取られている。この映画は83分しかなくてバシバシと場面が変わっていくんだけど、そこに違和感を覚えずに済むのも、素人が録画したビデオを編集したかのようなリアリティのあるつなぎ方が奏功しているからかも。 んで、これまた『AKIRA』的な超能力バトルのシーンは凄まじくて確かに見応えがあるんだけど、一方で、アメリカの高校生が抱える思春期ならではの無責任で脆い精神状態が端的に表現されていて、そこも素晴らしい。みなさん無名の俳優だったようだけどすごく演技が自然に映りました。ストーリーが無茶苦茶だという評価もしばしば見受けられるけど、まあ確かにわかる。超能力SFと青春映画の間を行ったり来たりしているから。でもそのブレが自分にはあまり気にならなかった。 終盤ボロボロになりながらも主人公が上げる叫び声は、せっかく出来た友人をちょっとしたバランスの崩れが発端で失ってしまういじめられっ子の慟哭とも取れて、ああなんという青春群像だろうと思ったりしつつ、ふと、この青春特有の儚い趣は『トレインスポッティング』に通ずるところもあるかもしれないとか勝手に感じたのでした。 やたらと低予算で作られたという話だけど映像は綺麗でそこまで貧乏っちい印象は受けない。空を飛んでる時の絵はちょっと無理があったけどw もう一度見てもいいかなと思った映画でした。 日本では首都圏で2週間のみの限定公開、の予定だったみたいだけど、タイムリーに公開拡大決定のニュースが出てますね。 話題のSF映画「クロニクル」が公開拡大決定 10月12日よ