トリヴァンドラムの喧騒に嫌気が指して飛び乗ったバスは、インド最南端の街、カニャークマリを目指していた。
特に見たかったものがあるわけではない。ただ、そこがインドの端っこであるというのなら、なんとなく到達しておきたかったのである。"端っこ"は不思議と人を惹きつける。そこに行けば何かとても素敵なものと出会えるんじゃなかろうか、という期待を持たせてくれる。端っこであることはただそれだけで魅力的なのである。(大抵たいしたものはないんだけど)
で、カニャークマリである。
この街の位置するコモリンと名付けられた岬では、アラビア海、インド洋、ベンガル湾という3つの海が出会うポイントであり、太陽は朝、ベンガルの海から顔を出し、夕にはアラビアの海に沈んでいく。
せっかくなのでシービューの部屋に泊まりたいと考えた僕らは、バックパッカーには割高な、マニッカムという中級ホテルに荷を降ろした。景色は申し分なく、テラスから見下ろす漁村の風景はのどかであった。すぐそばの空き地では、子どもたちがクリケットに興じていた。
ホテルの脇の、海へと向かう細い路地は迷路のように入り組んでおり、所狭しと並んだ家々からは子どもたちが飛び出してきた。
岬の先端に立つ、クマリ・アンマン寺院へと続く参道には、観光客向けの土産やが並んでいて、人々で賑わっている。外国人観光客はほぼ見当たらず、巡礼目的のインド人ばかりだった。外国人相手の商売じゃないからだろうか、店を冷やかして回ってもあまり構ってはもらえず、それはそれで居心地が良かった。
寺院方面へさらに散策を続けると小さなビーチにたどり着いた。どうやらここがインド最南端のようだ。海に入っているインド人のうち何割かは呑気に水遊びをしていたが、中には真剣な面持ちで沐浴をしている者もいた。ここは一応聖地なのだ。
南を見やると、岩の上に立派なお堂があり、更に隣の岩にはどでかい像がこちらを向いて立っているのが見える。お堂はヴィヴェーカーナンダというヒンドゥー教のエライ人がその岩の上で瞑想した事にちなんで建てられたらしく、となりの像はタミルのティルヴァッルヴァルという詩人の像らしいが、なんでそこに建てられたのかは不明。
観光客で溢れる岬の先端部分をひと通りぶらついた後は、ホテル方面へと戻り、脇の路地を進んで漁村へとおじゃました。
壁をカラフルに塗られた家々は、ここがインドであることをしばし忘れさせてくれる。
漁から帰ってきたばかりなのだろうか、海の男たちは陽気に、簡素な作りの船を囲んで網の手入れをしていた。
街は夕刻を迎えようとしていた。穏やかな漁村には、元気に遊びまわる子どもたちのはしゃぐ声が響き、なんとも牧歌的な風情である。
ここには僕らを騙そうとする面倒な売り子もいなければ、いちいち神経の磨り減るタクシードライバーとの料金交渉もない。僕は、この街を好きになりかけていた。
インド - カニャークマリ(その1)
インド - カニャークマリ(その2)
インド - カニャークマリ(その3)
インド - カニャークマリ(おまけ)
特に見たかったものがあるわけではない。ただ、そこがインドの端っこであるというのなら、なんとなく到達しておきたかったのである。"端っこ"は不思議と人を惹きつける。そこに行けば何かとても素敵なものと出会えるんじゃなかろうか、という期待を持たせてくれる。端っこであることはただそれだけで魅力的なのである。(大抵たいしたものはないんだけど)
で、カニャークマリである。
この街の位置するコモリンと名付けられた岬では、アラビア海、インド洋、ベンガル湾という3つの海が出会うポイントであり、太陽は朝、ベンガルの海から顔を出し、夕にはアラビアの海に沈んでいく。
せっかくなのでシービューの部屋に泊まりたいと考えた僕らは、バックパッカーには割高な、マニッカムという中級ホテルに荷を降ろした。景色は申し分なく、テラスから見下ろす漁村の風景はのどかであった。すぐそばの空き地では、子どもたちがクリケットに興じていた。
ホテルの脇の、海へと向かう細い路地は迷路のように入り組んでおり、所狭しと並んだ家々からは子どもたちが飛び出してきた。
岬の先端に立つ、クマリ・アンマン寺院へと続く参道には、観光客向けの土産やが並んでいて、人々で賑わっている。外国人観光客はほぼ見当たらず、巡礼目的のインド人ばかりだった。外国人相手の商売じゃないからだろうか、店を冷やかして回ってもあまり構ってはもらえず、それはそれで居心地が良かった。
寺院方面へさらに散策を続けると小さなビーチにたどり着いた。どうやらここがインド最南端のようだ。海に入っているインド人のうち何割かは呑気に水遊びをしていたが、中には真剣な面持ちで沐浴をしている者もいた。ここは一応聖地なのだ。
南を見やると、岩の上に立派なお堂があり、更に隣の岩にはどでかい像がこちらを向いて立っているのが見える。お堂はヴィヴェーカーナンダというヒンドゥー教のエライ人がその岩の上で瞑想した事にちなんで建てられたらしく、となりの像はタミルのティルヴァッルヴァルという詩人の像らしいが、なんでそこに建てられたのかは不明。
観光客で溢れる岬の先端部分をひと通りぶらついた後は、ホテル方面へと戻り、脇の路地を進んで漁村へとおじゃました。
壁をカラフルに塗られた家々は、ここがインドであることをしばし忘れさせてくれる。
漁から帰ってきたばかりなのだろうか、海の男たちは陽気に、簡素な作りの船を囲んで網の手入れをしていた。
街は夕刻を迎えようとしていた。穏やかな漁村には、元気に遊びまわる子どもたちのはしゃぐ声が響き、なんとも牧歌的な風情である。
ここには僕らを騙そうとする面倒な売り子もいなければ、いちいち神経の磨り減るタクシードライバーとの料金交渉もない。僕は、この街を好きになりかけていた。
インド - カニャークマリ(その1)
インド - カニャークマリ(その2)
インド - カニャークマリ(その3)
インド - カニャークマリ(おまけ)