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チュニジア - 道程


(メモより。一部改変。)

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14時半に来ると言われたバスが来たのは結局その30分後だった。ローカルの旅行客達と共にターミナルで煙草をふかす。

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腰を降ろした座席から通路を挟んで見える左側の窓。窓の前にはおばちゃんがでんと座っており、窓枠と、おばちゃんと、その奥には流れる景色。右手を見ると、視界を邪魔するものがなく、広く視界を確保できるんだけど、ついつい見やってしまうのは左側。視界が自由過ぎると疲れるのかもしれない、視界を制限される事が実は落ち着くのかもしれない。窓、或いは車窓が無条件に広いのは考えものだと思う。

左側の窓からは、オリーブの木々がさーっと移っていく景色。雑多に、無規則に生えているように見えるが、ずっと眺めていると、木々が手前から奥までピッと一直線に並ぶタイミングが定期的に訪れる事に気づく。実は規則性がある。反復する一直線。そのミニマルな様子に、これが畑なんだと気づく。

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イヤホンを耳に挿してロングシーズンを聞く。西陽に赤く染められる、土が見える。

旅とは何かという問に、旅とは移動だって解を出した友人を思い出した。では移動とはなんだろう。おばちゃんと、窓枠に狭められた視界から望む景色を眺めて考える。そして思う。それは、木々の緑を、鉄塔と鉄塔の間隔を、地平線から此処までの距離を知覚すること。

キューバのバラデロからハバナに向かうバスの車窓から見た景色を、パキスタンのラホールからイスラマバードに向かうバスの車窓から見た景色を、メキシコのグァナファトから何処かに向かうバスの車窓から見た景色を、インドのムンバイからゴアに向かうバスの車窓から見た景色を、思い出すこと。

愛犬の死を、祖父の死を、祖母の死を、思い出すこと。

母が目を患った事を知った時の、自分の素っ気ない態度を思い出すこと。

チュニジアの道路は思っていたより丁寧に舗装されている。ここはハイウェイだ。休憩はあるのだろうか。

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