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ミャンマー(その5) - デイドリーム

ミャンマービールとの出会いを存分に楽しんでいると、更に遅れてヤンゴン入りしたもう一人の先輩から連絡が入った。やはりスーレー・パゴダで落ち合うこととし、既に4杯ほどビールを飲み干していた僕らはやや浮かれた足取りで待ち合わせ場所へ向かった。 スーレー・パゴダにつくと、先輩は北側の入り口にちょこんと座っていた。再会の挨拶もほどほどに彼女を件のゲストハウスに連れていき、チェックインを済ませてもらう。 時間は少し早かったが、僕らの興味は晩飯に向いていた。スーレー・パゴダから西に800メートルほど歩いたところに何やら串焼きとビールで有名な通りがあるらしい。身軽になった先輩を加え3人となったパーティは、洋々とヤンゴンの街を闊歩した。 淡い西日を受けて輝くスーレー・パゴダはダウンタウンにあって明らかに異質な存在に見える。 ダウンタウンはバイクの乗り入れが規制されているらしく、帰宅ラッシュ時においてもホーチミンやバンコクのようなけたたましいクラクション音が聞こえない。東南アジアの主要都市の中でもここまで静かなところは珍しいんじゃなかろうかなどと考えながら、夕暮れの街を歩いた。 目当ての通りに向かう途中、路上の喫茶店に寄った。足の低いプラスチック製のテーブルの上に中国茶が置かれている。甘ったるいインスタントコーヒーを飲みつつ、約5円ほどで買った葉巻をふかし、せっかくなので、と横で売られていた屋台料理も注文した。 「ヒン」と呼ばれる、具材が油にどっぷりと使った一見カレー風の食べ物や、空芯菜のような中華風の青菜の炒めもの、石のようなチキンの揚げ物を食う。この手のいかにもローカルフード然とした料理が何よりも好きな僕にはたまらない食事だった。 小腹が満たされたところで当初の目的地であった通りへ向かうと、徐々にあたりの雰囲気が活気づいてきた。各種屋台が並び、いろいろなものが雑多に売られている。 十数メートルの幅の道路の両側に、テーブルと椅子、そして串焼き台を隙間なく並べた目的の通りは200メートルほど続き、多くのミャンマー人と少しの外国人旅行客で賑わっていた。 つい先ほど軽く飯を食ったばかりだというのに、気分の昂ぶっていたぼくらはビールが飲みたくてしょうがなかった。適当に店を決めて早速ミャンマービールを頼む。 奇しくも集まったメンバーは全員酒飲みだ。何杯ものビ...

ミャンマー(その4) - あの娘が眠ってる

ヤンゴンのダウンタウンの中心には、スーレー・パゴダという仏塔がデーンと鎮座している。普段は市民の静かな祈りの場だが、あるときは反政府デモの拠点ともなったこの仏塔で、3時間ほど遅れてミャンマー入りする先輩と僕は落ち合うことになっていた。 ヤンゴン中央駅からスーレー・パゴダまで歩く途中、既に空港には到着しているはずの先輩へ何度電話をかけたがつながらなかった。彼の使う携帯キャリアが国際ローミングに対応していて、ミャンマーでも使えることはわかっている。 待ち合わせ時刻を過ぎても彼は姿を見せない。何年か前に、雨期真っ盛りのムンバイのインド門で同じように友人と待ち合わせを試みた際、すれ違いが重なりに重なって落ち合うまで3日かかった思い出がふっと頭をよぎった。(当時は旅行に携帯電話なんて野暮なものは持ち歩かなかった) 更に遅れてヤンゴン入りする事になっているもう一人の先輩に電話をかけ状況を説明すると、「まあ、なるようになるんじゃない」とふんわりした答えが返ってきた。まあ、そっか。あの人なら放っておいても大丈夫か。 あと30分待って音沙汰がなかったら街を散策しに行こう。気を取り直してパゴダの隣のインターネット屋で涼んでいると、電話の繋がらなかった先輩がヌッと姿を現した。どうやら現地キャリアの選択をしていなかったらしい。 ヤンゴンのゲストハウスは、東南アジアの他の多くの都市と違い密集していない。合流してから間もなくして、僕らはその夜の寝床を求めて汗をかきかきヤンゴンのダウンタウンを徘徊するハメになった。 結局ぐるぐると1時間弱歩きまわって落ち着いたのは、待ち合わせ場所のすぐ脇にある、小さな看板を出した清潔なゲストハウスだった。 チェックインを済ませて、あとから来るもう一人の先輩の部屋を予約し、再び街に出た。翌日のフライトのチケットを航空会社のオフィスでピックアップする必要があったのと、腹が減っていた僕らは、少しばかりの食い物と何よりビールを欲していたからだった。 すぐさまタクシーに乗り込み、オフィスで滞りなく発券を終え、ダウンタウンに舞い戻る。足取りも軽やかに、雑踏の中をすり抜ける。 しばらく歩いて見つけたのは、壁を一面を薄い緑色のペンクで塗りたくった薄暗いレストランだった。 「ドラフトビールをふたつ」...

ミャンマー(その3) - ブルー・サマー

ヤンゴンに降り立った僕をまず出迎えてくれたのは、まさかのお馴染みのロゴだった。 そういえば、日本での上場が難しいマルハンが東南アジアで金融業を営みはじめた、というニュースをいつだったか目にしたことがある。カンボジアあたりでマイクロファイナンスをやってるだとかなんだとか書かれていた気がするが、記憶は曖昧だ。 まさか見慣れたパチンコ屋のロゴに出迎えられるとは思っていなかった僕は一瞬戸惑ったが、落ち着いて空港内を見渡してみると、ここは確かにヤンゴンであった。 イミグレーションを通過し、空港内の両替所でUSドルをミャンマーチャットに少しばかり替えた。レートは悪くない。 ヤンゴンのダウンタウンで落ち合う予定の先輩が到着するまではあと3時間ほどある。時間を持て余した僕は、ダウンタウンまでローカルの電車で向かってみることにした。 空港を出るとすぐに僕を取り囲むタクシードライバーたち。うるさく客引きしてくる彼らのうちのひとりに行き先を告げてみる。 「オッカラパステーションまで行って欲しい」 「オッカラパ?」 ドライバーが聞き返す。 「そう。駅の、オッカラパ。そこから電車を使ってダウンタウンまで行く」 ドライバーは幾分怪訝な顔を見せた。タクシーを使えば快適に、しかもたった30分程度で辿りつけるのに、おんぼろでガタガタ揺れるわ、定刻通りに来ないわ、おまけにしょっちゅう止まるわで安さ以外に取り柄のない電車を使いたがる旅行者はあまりいないようだった。 料金交渉を適当に済ませタクシーに乗り込む。距離を勘案するとやや割高な言い値だったが、ドライバーに電車のチケットを買うのを手伝ってもらう魂胆だった僕は特に面倒な事を言わなかった。 「なんで電車なんかに乗りたがる?ボッロボロだよ?」 ハンドルを切りながら、物好きな旅行者にドライバーが問う。 「電車の窓からヤンゴンの景色を見たいんだ」 彼は納得のいかない顔をしていたが、それ以上質問を重ねなかった。 長く陰鬱な雨季を終えたばかりのヤンゴンの街は、幾分湿った温かい風に包まれていた。 未舗装の道路を走ること10分程度。僕はオッカラパ駅にたどり着いた。駅、というよりは、線路の両側にコンクリートで足場を作って屋根をつけただけ、という様相の場所で、当然改札などなかったが、小さくてかわいい駅舎が...

ミャンマー(その2) - ずっと前

そしてまた僕はタイにいた。と言っても、今回は単にトランスファーで一時的に空港に滞在していただけなのだが。 前日の夜、仕事を終えた僕は、まず羽田から関空へと飛び、続いて関空から深夜便でバンコクはスワンナプーム国際空港へと飛んでいた。 スワンナプームに到着したのは朝4時半頃だった。当然外は真っ暗で、搭乗ゲート付近では、朝イチのフライトを待つ外国人旅行客が各々少しでもよく眠れそうなベンチをこぞって占領し、カバンを枕にすやすやと眠っていた。特段やることもないので、僕も空いている椅子を3つほどかき集め、寝床を作って浅い眠りについた。 目を覚ますと既に柔らかい朝日が搭乗ゲートを照らしていた。ちょうど良い時間のようだ。ゲートに向かうと、既に多くの旅客が搭乗開始を待っていた。 さて。自分の搭乗時刻を確かめる。スワンナプームを発ってしまえば、1時間と少しでヤンゴン国際空港だ。 旅の仲間とは現地で落ち合うことになっていたが、ヤンゴンには僕が一番乗りすることになっていた。みんなとは無事落ち合うことができるだろうか、などと考えながら、搭乗前最後のたばこを吸い終えた。 あと少しでミャンマーだ。徐々に高まる旅への期待感が、眠気に勝っていった。 ================== ミャンマー旅行記 ミャンマー(その1) - ウォーキング・イン・ザ・リズム ミャンマー(その2) - ずっと前 ミャンマー(その3) - ブルー・サマー ミャンマー(その4) - あの娘が眠ってる ミャンマー(その5) - デイドリーム ミャンマー(その6) - スマイリング・デイズ、サマー・ホリデイ ミャンマー(その7) - ジャスト・シング ミャンマー(その8) - メロディ ミャンマー(その9) - ロング・シーズン ミャンマー(その10) - 100ミリちょっとの ミャンマー(その11) - エヴリデイ・エヴリナイト ミャンマー(その12) - ゆらめき・イン・ジ・エアー ミャンマー(その13) - アイ・ダブ・フィシュ ミャンマー(その14) - それはただの気分さ ミャンマー(その15) - バックビートにのっかって

ミャンマー(その1) - ウォーキング・イン・ザ・リズム

数年前、大学卒業を控えた僕はタイにいた。特に行き先を決めずにバンコクに降り立ったあとはチェンマイまでふらっと足を伸ばし、そこでふと、ミャンマーでも見に行ってみるかと思い立った。 チェンマイからはバスで4、5時間程度だったと記憶している。北西部のメーソートという、ミャンマーと川を隔てて向かい合っている小さな街に辿り着き、川を越えて密入国してきたと思しき女の子がちょこんとレセプションに座るゲストハウスに荷を下ろした。そこから橋を渡って川を越え、対岸のミャワディという街を覗いてみた。その時こそがミャンマーとの出会いだった。 その日のバカみたいな暑さと、川一つ隔てて大きく異なるインフラレベル、恐らく仕事がなくひねもす道に寝転がっている男たち。そしてタイのそれとは違う、柔らかく丸い形をした、金色にギラギラと鈍く輝いてはいるもののどこか貧相な寺が印象的だった。 日本に帰って来てからも、大学を卒業し仕事を始めてからも、しばしばミャワディのことを考えていた。写真なんか見なくとも、あのとき見た光景は鮮明に思い出すことができる。僕はいつの間にか、ミャンマーへの再訪に思いを馳せるようになっていた。 そして今年、トントン拍子で痛快な旅の仲間が集まり、僕は再びミャンマーの地を踏むことになった。 と、いうことでようやく整理も終わり、写真をアップしました。→ Flickr ================== ミャンマー旅行記 ミャンマー(その1) - ウォーキング・イン・ザ・リズム ミャンマー(その2) - ずっと前 ミャンマー(その3) - ブルー・サマー ミャンマー(その4) - あの娘が眠ってる ミャンマー(その5) - デイドリーム ミャンマー(その6) - スマイリング・デイズ、サマー・ホリデイ ミャンマー(その7) - ジャスト・シング ミャンマー(その8) - メロディ ミャンマー(その9) - ロング・シーズン ミャンマー(その10) - 100ミリちょっとの ミャンマー(その11) - エヴリデイ・エヴリナイト ミャンマー(その12) - ゆらめき・イン・ジ・エアー ミャンマー(その13) - アイ・ダブ・フィシュ ミャンマー(その14) - それはただの気分さ ミャンマー(その15) - バックビートにのっかっ...

八重山の話

今年もお決まりのメンツで八重山におじゃましました。 1件目の焼肉で腹ごしらえして2件目で泡盛煽りまくった挙句3件目のカラオケで記憶飛ばす流れも定番。あ、でも今年は歌わなかったなビートルズ。 バカみたいに飲んだ割にはふしぎと二日酔いは訪れず。軽やかにチャリンコ漕いでたどり着いたは憧れのかき氷屋。 波のない穏やかで透明な海を眺め、ひとりウユニ塩湖を想起していた。 島を変え、お次は早朝の海をやっぱりひとりで眺めてみる。そうだ、あれはいつだったか、久米島で沈む夕日を眺めながら、手元に残った内定カードのうちどれを選ぶか考えこんでいたなあなんてことを思い出す。 今年もやっぱり海を眺めながらいろいろ考えこんでたんだけど、ブレークスルーみたいなものは訪れなかった。そういえば、いつだったか久米島で海を眺めてた時も、結局答えを出せずに東京に帰ってきたんだっけ。 都会での暮らしをやめて島に移り住んだひとがたくさんいる。東京を離れてよかったですか?とは聞けずじまいのまま、今年の夏にオサラバしたのでした。 いつもどおり下手くそな写真は ここ にアップしました。

高尾山の話

前々から興味のあった 高尾山ビアマウント にようやく行ってきました。 一応トレッキング用の靴を履いてったんだけど、舗装されてるルートもあるのでスニーカーで全く問題ないですね。汗をかきかき小一時間登るとあらいい景色。スカイツリーから横浜のほうまでぴゃーっとパノラマに見渡せます。 正午頃(多分)に登り始め、13時ちょい前くらいに到着して、15分ほど並んだら入れました(土日祝は13時開店)。 おとなは男性が3300円、女性が3000円で、2時間飲み放題食べ放題。ビールはスーパードライからハートランドまで5種類くらい、食べ物は各種和洋中を取り揃えつつ、地元の朝採り野菜まで並んでてそんなに飽きない。 都心はまだまだ暑いですが、さすがにこのあたりはそれなりに涼しくなってきていて快適です。下山時はケーブルカーを使ってサクッと降りると楽かと。 夕方前には帰りの電車に飛び乗ることができます。あとは中央線の中で爆睡こくだけ! 登山の対象としては馬鹿にされがちな高尾山だけど、緑の中でちょろっと運動して良い景色眺めながらビールのみまくることを目的にすると悪くない気がします。もちっと空いてたらなお良いんだけどね。ビアマウントは10月8日まで開催しているそうです。