4時間半ほど列車に揺られていただろうか。僕らはハジャイから北に380kmの所にあるスラタニに到着した。 スラタニまでの列車はそれまでと違って寝台列車ではなく、JRの特急列車のような少し立派な作りの座席のものを予約していた。途中、なんと晩ご飯まで支給された(ボチボチの味だった気がする)のだ。 で、スラタニである。小さい町である上に到着したのは深夜だ。駅前にタクシーは一台もいない。それどころか人影すら見当たらなかった。 駅構内にたむろしているろくでもなさそうな輩に市街地まで行きたい旨を伝えると、仲間のタクシードライバーだという奴に電話をかけてくれたので、英語が不便な彼に変わって受話器の向こうの某かと交渉を図った。しかしそのドライバー(本当はただの暇なオッサンだったと思うが)が提案してきた額は異常に不当な金額で、結局没交渉に終わってしまったのだった。 しょうがなく駅前をぶらついていると、1台の乗用車がタクシー停留所の近くに泊まっている。ダメ元でそのドライバーに話しかけてみると市街地まで乗せてくれるという。恐る恐る金額を聞くとまあまあ許せる金額を提示されたので、僕らはそいつの車に乗り込んだ。 市街地に到着した僕らは適当に見つけた宿に荷を下ろし、改めて何か口にするために外に出かけた。 街灯は少なく薄暗い通りだったが、かすかに匂う潮の香りが港の近いことを教えてくれる。少し歩いて広い川に面した通りに出た時、大きな花火が打ち上がった。この日は大晦日だった。花火を眺める僕らの脇で爆竹がけたたましい音を立てる。タイの諸々の行事は旧暦に基づいて行われるので1月1日という日付はタイ人にとってはどうでも良い日のはずだが、控えめながらもちゃっかりお祭りムードである。 通りに並ぶ屋台ではシンハーの大瓶を売っていたので、すかさず二人でぐびぐびと飲む。慌ただしい年越しで特に大きな感慨があるわけではなかったが、それでもめでたいものはめでたい。そしてめでたい日にはビールを飲まなければいけないのだ。 その後、さあ酒を買い込んで宿で飲み直そうと思ったのだが、なんと訪れたコンビニでは酒を売ってくれなかった。どうやらコンビニで酒類を販売して良い時間帯を越えているらしい。僕らは項垂れ、泣く泣く宿へと帰って大人しく眠った。 翌朝、元旦である。この日はフェリーに...